
本社外観
メインフレームの信頼性と処理能力を活かしながら、今後の競争力強化に役立つ先進のシステム基盤を作りたい。丸三証券株式会社が『新営業店システム』にかけた思いは、アプリケーションサーバ製品Interstageによって実現しました。メインフレームとWeb技術を融合して、信頼性と自由度を両立させたシステム構築に成功したのです。また、統合運用管理ソフトウェアSystemwalkerによって、システム全体の可用性向上も達成しました。ミッションクリティカルな基幹系システム構築に豊富な実績とノウハウを持つ富士通は、システムの設計/構築から運用、さらには将来の新規アプリケーション開発まで、トータルに考え、総合ソリューションを提供します。
[ 2003年10月掲載 ]

川名 修氏
丸三証券株式会社 システム部 運用課長
丸三証券は、独立系の証券会社として100年近い歴史を培ってきました。丸三証券でなければできない独自性あるサービスにこだわり、顧客満足を真剣に追及してきたからこそ、長い年月にわたって顧客から支持されてきたのです。
1987年に、パソコンによる投資情報サービスとホームトレードサービスをスタートさせるなど、オンラインでの証券通信販売には早くから力を入れてきました。一方、営業マンがフェイス・トゥ・フェイスの営業活動を行う対面販売では、個人向け/法人向けともに、「レポート営業」が持ち味です。これは、丸三証券の投資情報部門が調査部と協力して独自の市場分析を行い、推奨銘柄をレポートする形で営業する営業形態で、顧客ニーズにマッチした銘柄を公平な立場で見極める誠実な企業姿勢が評価されています。
独自性の高いサービスを実行するためには、自前のシステム作りにこだわってきました。
「証券業界では最近、システムの共同開発や共同運用が流行っています。しかし丸三証券は、自社ですべてのシステムを作り、自社ですべてコントロールできる体制を選択してきました。自前のシステムであるからこそ独自のサービスを機敏に載せることができ、独立系中堅証券会社の良さを活かすことができるからです」と、丸三証券株式会社 システム部 運用課長 川名修氏は話します。
自前のシステムだからこそ、自社に都合の良いスケジュールでアプリケーションを搭載することができます。他のアプリケーションに影響を与えるような大きなアプリケーションでも、経営戦略上必要であれば、搭載することができます。しかも、トラブルにすばやく対応することもできるのです。
「こうした自前システムならではの良さを発揮できた背景には、長年にわたって丸三証券のシステム構築を一手に請け負ってきた富士通の存在があります。富士通が、アプリケーションの開発、運用管理、サポートまで一貫して提供してくれるからこそ、自前のシステムを安心して使ってこられたのです」と川名氏は評価しています。
2003年、営業店システムを再構築するにあたっても、丸三証券はトータル提案を重視しました。
本社と全国27支店を結ぶ営業店システムは、12~13年間も使い込んできただけに、アプリケーションの完成度に磨きがかかる一方で、ハードウェアは陳腐化していました。富士通Mシリーズにダム端末を接続したメインフレーム集中型の専用システムであるため、イントラネットに対応できず、端末の増設もままならないのが悩みだったのです。
「機器が古くなればなるほど、業務がストップしてしまう危険が高まりますから、リプレースを急ぐ必要がありました。けれども、メインフレームをグレードアップしたり、専用端末をPCに入れ替えるだけの単純なリプレースはしたくありません。次の顧客サービスに結びつき、5年先の差別化に役立つ提案が欲しかったのです」と川名氏は言います。
丸三証券が求めていたのは、ハードウェアを入れ替えた守りのシステムではなく、今後の営業力強化に役立つ攻めのインフラ基盤でした。そしてこれを実現したのが、アプリケーションサーバ製品Interstageを中核にした『新営業店システム』の提案だったのです。
丸三証券は、営業マン全員に一人1台のパソコンを配布して、社内イントラネットやインターネットを自由に活用できる環境を求めていました。この要件を実現するシステムとしては、メインフレームを存続したうえで、インターネット技術と融合し、両立させる道を選択しました。
大量データを一括処理するパフォーマンスと信頼性の2点で、やはり頼りになるのはメインフレームであるからです。一方で汎用的でオープンなインターネット技術は、技術革新のテンポが速く、常に最もコストパフォーマンスの高いシステムを利用できるというメリットがあります。「現在の信頼性」と「将来の拡張性」とを両立させることができるのが、CORBA技術であり、CORBAに準拠したアプリケーションサーバ製品Interstageだったのです。
Interstageを使ってWebシステムとメインフレームをつなぐことで、次のような利点が得られます。
第1は、COBOLで開発された完成度の高い業務アプリケーションを活用しながら、短期間でイントラネットを利用した先進システムへ移行できることです。 「プログラムの8~9割は既存のサブルーチンを利用したため、新規開発や書き換え作業は最小限で済みました。流用部分はテストも不要であるため、大変な開発工数削減につながっています」(川名氏)。
第2は、先進的なアプリケーションサーバ製品を採用することによって、次の戦力強化を担い、5年先の差別化を支えるシステム基盤が構築できたこと。
第3は、メインフレームに対するインターフェースをCORBAで統一することができたため、将来にわたってシステムの拡張性を確保することができたことです。
「3年後、5年後にも競争力強化に役立つシステムを強く要望されていましたから、Interstageが最適と考え、エミュレータなどの選択肢は候補からはずしました。その結果、メインフレームに接続するシステムを自由に選択できる環境を実現できました」と、システム開発を担当した株式会社富士通アドバンストソリューションズ システム本部 第二システム事業部の担当者は解説しています。富士通メインフレーム独自のFNAプロトコルからオープンなインターネットプロトコルへ移行したことにより、I/Oの自由度を手に入れることができたのです。
丸三証券のシステム概念図

『新営業店システム』の構築は、前段階として、2001年7月に、メインフレームをM780からGS8900へリプレースするところから始まりました。先進のGSシリーズに切り替えたことによって、CORBA連携が可能になったのです。また処理性能が一気に向上し、8時間かかっていた夜間バッチが3時間で済むようになったというリプレース効果もありました。
『新営業店システム』は、2002年1月に開発をスタートしました。2003年5月から段階的にカットオーバーしていき、同年7月に全27支店への展開が完了したのです。
主要サーバは信頼性の高いSolarisサーバPRIMEPOWERのクラスタシステム構成、WWWサーバについては信頼性に加え、拡張性を追求した「PRIMEPOWER+IPCOM」の分散構成を採用しています。
27支店の金融専用端末は、FMVシリーズなど、汎用的なWindowsパソコンに置き換えました。台数を一気に増やすことが可能になったため、27支店で合計1148台が配備されています。
各支店には、拠点サーバとして、管理のしやすいPCサーバPRIMERGYを設置しました。拠点サーバは、現金入出金機のコントロールと帳票出力の役割を担っています。売り買い注文の入力や顧客データベース照会などの業務はすべて、拠点サーバを介することなく、WWWサーバ経由でメインフレームへ直接アクセスして処理を行っています。
なお、すでに稼働している基幹系業務では、WWWサーバから直接GSシリーズへアクセスしていますが、これから開発していく情報系業務では、アプリケーションサーバ上の新規アプリケーションを使うため、WWWサーバからさらにアプリケーションサーバを経由してGSシリーズへアクセスすることになります。
情報系業務の第1弾としては、『新コンテンツシステム』を現在開発中です。これは、支店の営業担当者を支援するもので、Windows環境を活かしながら、顧客の保有株に関する情報や企業分析情報をすばやく同時表示しながら、顧客と電話で効率よく話すことができるシステムになる予定。これから詳細を詰めていくなかで効果的であると判断すれば、顧客に対してもシステムを公開していく方針です。つまり、個人顧客や機関投資家が、証券会社の営業マンと同じ画面を見ながら売り買いの相談をするという、新しい証券サービスの姿が実現するわけです。CORBAでメインフレームに対するインターフェースを統一して接続の自由度を手に入れたことにより、こうした営業力強化に役立つシステムを、今後も次々に作っていくことができるようになりました。
『新営業店システム』では、統合運用管理ソフトウェアSystemwalkerも活用しています。 まず帳票については、Systemwalkerの帳票関連ソリューションを活用して、リモートでオンデマンド出力のできる環境を実現しました。
実は丸三証券ではメインフレームとダム端末の時代から、帳票の分散出力や、オンラインによるオンデマンド出力環境を構築していました。本社で膨大な紙の帳票を出力し、分配し、各支店へ配送するようなタイムラグの大きい体制はとうの昔に脱却していたのです。Web環境でもこのサービスレベルを維持しなければなりません。そのために活用したのが、Systemwalkerのアウトプット管理製品の中で、帳票の電子化、Webブラウザ上での表示/検索/Excel転記を行うツールである「Systemwalker ListWORKS」と、帳票のスピード設計、印刷/PDF高速変換/電子保存/Fax出力を行うツールの「Systemwalker ListCREATOR」です。
帳票の種類は、管理帳票類が200~300種類と、プレプリントの専用用紙に出力していた客先提出用の40~50種類です。前者の管理帳票類は、フォーマットが多少変わっても構わないので、専用出力機からレーザープリンタへの移行にほとんど問題は生じませんでした。焦点となったのは、顧客サービスの観点から、同じフォームを継承することが求められる顧客提出用の帳票40~50種類です。「Systemwalker ListCREATOR」は、きめ細かい帳票デザイン機能によってこの要求に応え、寸分たがわぬフォーム設計を実現しました。しかも、「Systemwalker ListWORKS」のオーバーレイ機能により、専用用紙のプレプリントは不要になったのです。
見栄えの美しい帳票をレーザープリンタで出力できるようになったため、支店は、40~50種類にのぼる専用用紙の在庫管理から解放されました。支店に配置していた約35台の出力専用機もなくなり、経費削減に貢献したのです。
管理帳票の出力についても、支店の負担は大きく軽減されました。
「以前の出力専用機は、1ページの出力に1分かかっていました。会議などがあると、支店では担当者が朝6時、7時に出社して管理帳票の出力作業をしなければならなかったのです。ところがレーザープリンタは、毎分26枚の出力スピード。必要な帳票があっという間に出力できます」(川名氏)。
ミッションクリティカルなシステムであるだけに、運用管理にはメインフレームと同レベルの精密さが求められました。そこで採用したのが、メインフレームの管理技術を継承して高度な集中監視を行う「Systemwalker CentricMGR」と、ジョブ管理を行う「Systemwalker OperationMGR」です。
「システム全体はデータセンターに設置されており、新たにサーバを導入したからといって、センターの運用管理担当者の人数を増やすわけにはいきません。『Systemwalker CentricMGR』によって、システム部から、システム全体をしっかりリモート監視できる体制が実現できました。システム管理専任者のいない支店にある拠点サーバの状況もリモート監視できるため、大変に助かっています」と川名氏は語ります。
「Systemwalker OperationMGR」は、メインフレームからのコマンド自動投入によって、サーバ関連のジョブをコントロールする仕組みにしています。これは、メインフレーム上のジョブが確実に終わってからオープン系のジョブをキックするための仕組みであり、ジョブ待ちやジョブ連携をできるだけシンプルにするための工夫でもあります。メインフレームでこれまで利用してきたスケジューラの設定を利用してオープン系のジョブも管理できるため、スケジュール設定と実行テストの手間を軽減するのにも役立ちました。
「Systemwalker CentricMGR」のプログラム配付機能も活用しています。たとえば資源管理サーバ上では、帳票サーバやWWWサーバに搭載するJavaプログラムのバージョンや、クライアント画面を構成するオブジェクトを管理していますが、更新時の各サーバへの配布には「Systemwalker CentricMGR」を使っているのです。
システム監視、ジョブ管理、配布。これらの機能はそれぞれ独立したものではなく、密接に連携してシステム全体の可用性を支えています。配布作業をスケジューリングすることもありますし、ジョブが異常終了した場合には集中監視コンソールを使って問題を特定することができるのです。統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker」だからこそ、こうした総合的な運用管理ができるのです。
そして、PRIMEPOWERやPRIMERGYのハードウェア、Interstage、Systemwalkerなどのミドルウェア、サポートの3つの要素が緊密に統合されていることによる相乗効果で、丸三証券の『新営業店システム』は、今日に至るまでサービス無停止の安定稼働を続けています。
『新営業店システム』の全面稼動によって、丸三証券の約1000名の社員は、すべての業務を目の前のパソコン1台でこなせるようになりました。取引を入力するのも、株価変動をチェックするのも、社内メールを読むのも、Webブラウザ上の作業で完了します。業務効率は著しく向上し、顧客への対応もスピーディーになりました。システムが自由度を獲得したことによって、丸三証券の社員は、スピードと利便性を手に入れたわけです。
「低迷を続けていた証券業界に株価好転の兆しが見えてきました。『さあ、ビジネスチャンスが来た』というときに、即応できる最新のシステムインフラが整っているという意義は非常に大きいものがあります。来年は、代理店法が変わって証券会社の業務内容にも変化が出てきますが、これにも対応できるインフラが用意できているのです」と川名氏は自信を持って語ります。
基幹業務系のシステムは完成しましたが、情報系のシステムはこれから開発が続いていきます。
「富士通には、将来を見越したうえで、次のフェーズへ行くための提案をどんどんしてほしい。メンテナンスビリティを高める提案、データベースのSymfowareを活用した新規サービスなど、アイデアはいくらでもほしいところです」と川名氏は言います。
システムの将来とビジネスの将来。富士通には両者の視点から、総合的なソリューションを提案し、トータルにサポートしていくことが期待されているのです。
| 本社 | 東京都中央区日本橋2丁目5番2号 |
|---|---|
| 創業 | 1910年(明治43年)1月 |
| 資本金 | 100億円 |
| 売上高 | 125億4,700万円 (2003年3月期) |
| 従業員数 | 1,112人 |
| 業務概要 | 川北商店川北徳三郎、金万商店難波礼吉、山大商店高井治兵衛の3者が各1万円を出資して設立した丸三商店が前身。独立系証券会社として、幅広い投資信託会社の商品を扱う。早くからオンライントレードなどの通信販売に取り組み、営業マンが対応する対面販売に比べて、通信販売の取引件数は2倍近くに達している。個人向け/法人向けの対面販売では、独自の企業分析情報に基づく「レポート営業」に特長があり、情報重視の中立的な営業姿勢が顧客から信頼されてきた。 |
| ホームページ | 丸三証券株式会社ホームページ |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。