
モバイルクレジット端末
「JET-Mobile」シリーズ
B to Cのeビジネス展開には、多様な決済手段を用意することが不可欠である。新規顧客獲得に役立つのはもちろん、代金回収の確実性を高めることも可能になる。各種の決済ソリューションを提供する株式会社日本カードネットワーク(CARDNET)では、従来のクレジット決済機能に加え、新EC決済サービス「ネットデビット」をINTERSTAGEで実現。柔軟な拡張性と信頼性を備えたeビジネス決済基盤を提供している。
[ 2002年1月掲載 ]

村上 大介氏
株式会社日本カードネットワーク サービス開発部
「1995年に、今後はICカードをはじめとした次々と生まれる新しい金融サービスに対応できるシステムインフラを提供する企業が必要ということで、主要クレジットカード各社の出資により当社が設立されました」。株式会社日本カードネットワーク サービス開発部 村上 大介氏は、設立経緯をこう説明る。
CARDNETではカード処理端末「JETシリーズ」などのハードウェア、加盟店とカード会社/金融機関を結ぶ「センター間接続サービス」、クレジット売上やカード無効情報などを伝送する「データ伝送サービス」など、多彩な決済ソリューションを、クレジット会社や加盟店向けに提供。急速に拡大しているインターネット環境にも対応しており、Webサイトでのクレジットカード決済をサポートする「EC決済サービス」などのサービスを提供している。
村上氏は「クレジット会社と加盟店を結ぶネットワークを構築すると同時に、こうした次世代の決済インフラを開発していくことも重要なミッションです」と力強く語る。

浅井 慶氏
株式会社ジェーシービー 情報ネットワーク事業本部 情報通信営業部 ネットソリューション開発グループ 主任
日本経済を取り巻く環境が依然として厳しい中、クレジットカード業界は成長し続けている。CARDNETのビッグユーザーである株式会社ジェーシービー(JCB)情報ネットワーク事業本部 情報通信営業部 ネットソリューション開発グループ 主任 浅井 慶氏は、その理由を「日本の個人消費全体に占めるクレジット決済の割合は、まだ数%程度しかありません。これが米国並みの20数%になれば、市場規模を3倍、4倍に伸ばすことができます。しかも最近では、コンビニや高速道路など、新たな分野での利用も広がってきました。クレジットカード業界全体としては、まだまだチャレンジできる余地があると考えています」と市場の将来性を語る。
クレジットカードが日本に登場した40年前、カード所有は一種のステータスシンボルであったが、現在では一般の消費者にもごく身近になっている。クレジットカード業界の成長は、今後もさらに続くと予想されている。
浅井氏は「JCBは日本で唯一、国際ブランドを持つクレジットカード会社であり、他のクレジットカード会社に対するブランド供与なども行っています。業界のリーディングカンパニーとして、お客様に先進的なサービスをご提供すべく事業に取り組んでいます」と強調する。
その重要戦略の一つが、ICカードである。JCBでは2002年1月からICカードを本格展開する。「ICカードはクレジットカードの偽造防止に絶大な威力を発揮しますが、メリットはそれだけではありません。他業種の企業とも連携することで、お客様にこれまでにないサービスをご提供できます」と浅井氏は語る。
さらに、ECへの対応も積極的に推進している。JCBでは冒頭に挙げたCARDNETの「EC決済サービス」を利用することで、eビジネスのインフラを確立。浅井氏は「ショッピングサイト向けクレジットカード決済サービスの提供はもちろんですが、インターネット総合サービス『MyJCB』や商品検索&情報サイト『Atta!』などのサービスも提供しています」と説明する。
「MyJCB」はJCBカード会員向けのパーソナルサービスで、カード利用明細やポイントの照会、顧客情報の修正などを行うことが可能。また、一括払いからリボ払い、分割払いへの変更などもオンラインで行える。デバイスの多様化にも対応しており、PCだけでなく携帯電話・Lモードなどからの利用も可能だ。
「Atta!」はJCBカード加盟店の商品をオンラインで検索できるショッピングポータルサイトである。キーワード検索・ジャンル検索・専門店検索・スペック検索など充実した検索機能を装備。
メールマガジンの発行も行っている。加盟店は「Atta!」に登録することで、自社の商品を適切にプロモーションできるというわけだ。
「私が所属するネットソリューション開発グループでは、この『ICとEC』を軸に据え、お客様・加盟店様の両方にメリットのあるサービスを開発しています」と浅井氏は語る。
CARDNETのビジネスフロー

JCBでは1999年よりECにおけるクレジット決済サービスを提供してきたが、2001年7月のリニューアルを機に「ネットデビット」を追加、より幅広いサービスの提供を開始した。このサービスはその名が示すように、銀行などの金融機関が提供するオンラインバンキングのID・パスワードを使ったデビット決済を可能にするものだ。
「インターネットでの決済はクレジットカードの比率が高いのですが、中にはクレジットカードをお持ちでないユーザーもいらっしゃいます。こうした方々にもオンラインでの決済手段をご提供するために、ネットデビットの提供をはじめました」と浅井氏は説明する。
オンラインショップの決済手段には代金引換やコンビニ決済などの方法もあるが、いずれも代金回収までの人手がかかる。しかも、督促などの作業が発生した際には、ショップは業務上の負荷を抱えなくてはいけない。
デビット決済ならば、ショップは入金が確実に行われることを前提に業務を進めることが可能になり、eビジネスをスムーズに推進できるようになる。しかもJCBとしても、クレジットカードを持っていない層を対象としたビジネスを展開することができる。
「EC市場は今後も間違いなく伸びていきますので、デビット決済のニーズもそれに比例して高まることでしょう。当社では、参加金融機関および加盟店の拡大を推進しています」(浅井氏)。

http://www.cardnet.co.jp/
この「ネットデビット」も、CARDNETが提供する「EC決済サービス」によって実現されている。しかし、従来のシステムはクレジット決済を前提として構築されていたため、デビット決済を実現するにあたってはシステムの再構築が必要となった。
新システム開発の経緯について、村上氏は「既存のインフラにデビット決済の仕組みを追加することも考えましたが、CGI主体で構築された旧システムは拡張性・安定性の面でやや問題がありました。そこでネットデビットの提供を機に、サーバも含めたシステムの全面的な再構築を行ったのです」と説明する。
ここで採用されたのが、富士通のアプリケーション・サーバ「INTERSTAGE Application Server」である。INTERSTAGE Application Serverを採用した理由について、村上氏は「INTERSTAGE APWORKS」を中心とする充実した開発環境が用意されていること、富士通の強力なサポート体制、JavaやCORBAなどの分散技術に対する富士通の開発習熟度の高さ、XMLなどの新しいテクノロジーにも対応できる柔軟な拡張性の4点を挙げる。
「Servlet/JSPベースのシステムが構築できるだけの製品なら他にもありますが、この4点をすべてクリアしていたのはINTERSTAGE Application Serverだけ。他の製品の導入は全く考えませんでした」と村上氏は選択の理由を語る。
このシステムでは、JCBがブランド供与を行っている他のクレジットカード会社やJCB以外の大手クレジットカード会社の取り扱いも行うだけに、安定性の高さも大きなポイントとなる。高度な信頼性・可用性を備えたINTERSTAGE Application Serverなら、こうしたミッション・クリティカルな業務にも十分に対応することが可能だ。
INTERSTAGE Application Serverを採用したことで、開発期間を大幅に短縮することも可能になった。システムのカットオーバーは2001年7月だが、基本設計を固めて開発に着手したのは2001年4月ごろ。わずか3ヵ月あまりという短期間で新システムを稼働させたのである。
村上氏は「Javaコンポーネントの再利用などを行うことで、開発生産性を飛躍的に高めることができました。今回の開発は富士通に協力してもらっていますが、優秀なエンジニアに多数参画してもらったことも大きいですね」と語る。
INTERSTAGE Application Serverのパフォーマンスに対する評価も高い。今回のシステムでは、金融機関や加盟店とインターネットを通じてデータをやりとりするため、レスポンスタイムの短縮も大きな課題であった。「『8秒ルール』などと言われるように、お客様をお待たせしないためには、決済ボタンを押してからレスポンスが戻ってくるまでの時間をできるだけ短縮しなくてはなりません」と村上氏は説明する。
8秒は、インターネット経由の通信も含めたトータルな時間であり、センター内の処理に許される時間は1~2秒程度しかない。「その点でINTERSTAGE Application Serverは、ほとんどチューニングを行わなくとも、目標に設定したレスポンス時間内でトランザクションを処理できました」と村上氏は満足げに語る。
一般に、Javaアプリケーションについては、性能面での不安を感じるという声もある。これは未だに初期のJavaのイメージが払拭できていないことによるものだ。しかし今回のケースは、こうした不安が全くの杞憂に過ぎないことを如実に物語っている。
CARDNETのシステム構成

新システムは他のシステムとの連携も行っているが、INTERSTAGE Application ServerはCORBAなどによる高度な連携機能を装備しているため、既存システムとのスムーズな統合も実現できた。
金融系システムに不可欠なセキュリティについても、最大限の配慮が払われている。128bit SSLによる暗号化などはもちろん、三者間取引を採用することで、利用者のカード番号やID、パスワードがオンラインショップ側に残らないような仕組みも盛り込まれている。
eビジネスは通常の社内業務システムと異なり、ノンストップのサービス提供も重要な課題となる。メンテナンスやバッチ処理があるからといって、サービスを停止するわけにはいかない。村上氏は「アプリケーション・サーバを冗長化することで、サーバメンテナンス中も常にサービスを提供できるようにしました。INTERSTAGE Application Serverを導入したことで、耐障害性だけでなくメンテナンス性も大幅に向上していますね」と導入の効果を語る。
JCBでも今回構築された新システム基盤を利用して、新しいサービスを次々と展開していく予定である。「クレジットカードはB to Cがメインの市場と思われがちですが、同じスキームを使ってB to Bの決済を行うことも可能なのです。JCBには法人カードの発行などを通じて培ってきたノウハウがありますので、B to B市場にも既に参入しております」と語る浅井氏。B to Bの分野ではXML、UDDI、SOAPを活用したWebサービスが注目を集めている現在、INTERSTAGE Application Serverであれば、こうした新環境にもスピーディーに対応することができる。
村上氏は「富士通はプロジェクトマネジメントが極めて優れており、今回のシステム構築でも助けてもらいました。今後も、同じようなサポートを期待しています」と富士通の貢献を語る。INTERSTAGE Application Serverは、今後もeビジネスに欠かせない決済インフラを支える重要な役割を担うことになる。
| 設立 | 1995年3月 |
|---|---|
| 資本金 | 4億8000万円 |
| 業務概要 | 主要クレジットカード会社各社の出資により、1995年に設立。クレジットカード決済端末の販売、各種データ関連サービス、クレジットカード会社・加盟店の業務支援サービス、次世代決済システムのインフラ整備などを手がけている。 |
| ホームページ | 株式会社日本カードネットワーク ホームページ |
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