厳しさの度がますます強くなっている納期短縮の要求。そこで重要となるのが適切な量の在庫の確保です。キーパーツが在庫不足になれば納期に影響します。かといって在庫過剰では棚卸資産が増大します。このため、富士通のプロダクト事業推進本部が着目したのが、XMLデータベースエンジン「Interstage Shunsaku Data Manager」でした。複数の異なるシステムから膨大な量の在庫データを取り込んで、瞬時に検索。全棚卸資産のリアルタイムな把握、余剰在庫の発生原因追跡、製造進捗状況の情報共有など、素早く正確な「見える化」に成功しています。
[ 2005年5月掲載 ]

熊谷 榮二氏
富士通株式会社 プロダクト事業推進本部 BPR推進部 統括部長

松崎 恒一郎氏
富士通株式会社 プロダクト事業推進本部 BPR推進部
富士通のプロダクト事業推進本部は、UNIXサーバ「PRIMEPOWER」やPCサーバ「PRIMERGY」、ストレージシステム「ETERNUS」などの生産計画を立案し、出荷する部門です。営業からのオーダーを受け、関連会社を含む国内複数の工場に計画を提示します。各工場は製品組立に必要となる部品を調達します。製品は5,000種以上、それに必要となる部品は数百万個になります。これら、製品または工程上の仕掛品や膨大な部品などの棚卸資産を、効率的に運用する責任があります。
「プロダクト事業推進本部は、棚卸資産の圧縮を重大なミッションとしますが、反面、お客様に納期をお約束するための在庫も必要です。それには、早く正確な在庫の確認と、問題把握のための『見える化』が大きな課題でした」と語るのは、富士通のプロダクト事業推進本部BPR 推進部統括部長である熊谷榮二です。
しかし、棚卸資産の実績情報を各工場でまとめ、経理部門を経て、プロダクト事業推進本部まで届くのは、かつては月締めが行われた後でした。これでは、現状とのタイムラグが大きすぎて、問題を発見しても対策が遅れます。
各工場に散在する明細データを1ヵ所に集めればよいのですが、対象となるデータ量があまりに膨大です。さらに、工場で稼働しているシステムはそれぞれ異なり、在庫のデータ形式もバラバラです。
そこで着目したのが「InterstageShunsaku Data Manager(以下Shunsaku)」でした。XML形式で複数のシステムから柔軟にデータを収集できるうえ、「SIGMAエンジン(注1)」と「ハイトラフィック技術(注2)」により、驚異的な検索スピードを実現。データベース設計もチューニング作業も不要です。
Shunsakuの導入を決定し、2004年6月から構築を開始。8月には完成し、稼働しました。「当初は3工場でスタートし、順次1工場ずつ追加しています。既存のデータベースには手を加えず、データをXML化すれば検索できるため、極めて短期間で構築でき、1工場1ヵ月もあれば十分」と、富士通プロダクト事業推進本部BPR推進部の松崎恒一郎は、Shunsakuのスピード構築を認めます。
glovia.com(グロービアドットコム)(注3)など複数工場の異なる生産管理システムのデータベースから、明細データをXML化してShunsakuに取り込みます。工場のシステムに一切手を加える必要がないため、短期間でシステム構築ができます。
Shunsakuはブレード型PCサーバPRIMERGY BX600上で稼働。たとえ、データ量が増加しても、ブレードを追加するだけでShunsakuがサーバの追加を自動認識するため、性能の維持や拡張が容易です。これもShunsakuの大きなメリットの一つと言えます。
検索結果の表示には、Shunsaku専用のGUIを採用しました。これは、表示項目・階層構造を決めるだけで自動的に画面表示・集計でき、「フリーな検索」というShunsakuの特徴をフルに活かせ、問題点の詳細な把握が可能です。
現在ほぼリアルタイムで在庫の過不足をつかみ、即座に対策を打てるようになりました。棚卸資産照会も、従来は月次締め後でないと対応不可能でしたが、Shunsakuによって、デイリーで30万件を数秒で検索可能となりました。そして、過剰の場合は、部品サプライヤーと納入のコントロールをする、在庫が滞留している場合は、設計部門にその部品を活用するよう設計変更を依頼する、といったことが可能となります。
「これまでのシステムはPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルのPlanとDoがメインで、サプライチェーンにおいて重要なCheckとActionが十分機能していませんでした。これを可能にしたのがShunsakuです。従来、異なる形式の大量データ検索は、多くの人があきらめていましたが、Shunsakuは、これを瞬時に確認できます。いくら『見える化』が重要といっても、湯水のようにお金と時間をかけるわけにはいきません。Shunsakuを活用することで、極めて短期間・低コストで実現できるのです」と、熊谷はShunsakuのメリットを語ります。
棚卸資産のデイリー照会構成図

富士通プロダクト事業推進本部では、Shunsakuの能力に期待して、次々に新システムを開発しています。
その1つであるトラッキングツールでは、お客様からの受注後、組立の着手やテスト、出荷準備などの工程を営業と工場の双方で情報共有し、確認できます。工場への製造指示データ2万件、当日着手・完成データ数千件を収集し、Shunsakuデータベースを1時間おきに更新。営業は、ほぼタイムラグなく進捗状況を確認でき、お客様からの納期問い合わせにも迅速に回答できます。
余剰部品の追跡ツール(注4)はMRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)結果を蓄積し、余剰部品発生の原因を追跡できるものです。
従来MRP結果は、常に最新の計画のみが示されるだけで、余剰部品が発生してもいつどこに使用しようとしたか把握できませんでした。「MRP結果を保存しても、2年分のデータ件数で約2億件です。たとえ保存できても常識的には検索できませんが、Shunsakuはこの常識はずれの挑戦が可能です」と、松崎は強調します。
「今後は在庫予測のシステム作りを構想しています」と、熊谷は抱負を語ります。精度の高い在庫予測により、キャッシュフローの予測も可能となり、効果が注目されています。Shunsakuは、部門におけるものづくり革新を超え、全社的な業務革新の可能性を提供します。
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