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「Interstage Portalworks」と「Server2000ホスト連携プレミアム」による、ホストシステムと連携した業務指向型エンタープライズポータルの構築


本社外観

川崎重工業株式会社様 航空宇宙カンパニー 導入事例


ホストシステム、クライアントサーバシステム、Webシステムなど、さまざまなシステムが混在するシステム環境において、情報を横断的に取り出すことのできるエンタープライズポータルの需要は増大しています。川崎重工業株式会社 様の航空宇宙カンパニーでは、Server2000ホスト連携プレミアム(以下Server2000)が提供するホスト連携サービスと、「Interstage Application Server」、「Interstage Portalworks」によって、基幹業務系ホストシステムをバックシステムとする、業務指向型エンタープライズポータルの構築を短期間で実現しました。

[ 2003年12月掲載 ]


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高まるシステム連携へのニーズ、そしてポータルの導入

明治11年、「川崎築地造船所」として誕生して以来、日本の重工業界をリードしてきた川崎重工業。同社の航空機部門が、社内カンパニー制導入によって名称を変更したのが現在の「航空宇宙カンパニー」です。あらゆる産業分野の中でも、航空宇宙分野はつねに最高水準の先端技術を要求される分野です。コンピュータシステムについても同様で、生産性向上のためにさまざまなシステム導入が行われてきました。しかし現在では、情報技術の変遷に伴い、ホストシステム、クライアントサーバシステム、Webシステムが混在する複雑なシステム環境となっています。さらに、30年前に構築されたホストシステム上で稼動するアプリケーションはそれぞれにユーザ認証の必要があることなどから、次に挙げる2つの問題が浮上してきました。

  1. システムの利用環境が複雑化し、利用者が業務を円滑に遂行していく上での阻害要因となってきている。
  2. 利用者が既存システムの情報資産を十分に活かしきれていない。

同カンパニーでは、中長期の情報戦略のひとつとして“いつでもどこでも誰でも”手軽にアクセスできる環境の実現という目標を設定しています。そうした環境実現への取り組みの一環として、また、上記の問題を解決するソリューションの1つとして、今回のエンタープライズポータルの構築に取り組むことになりました。

「Interstage Portalworks」による業務指向型ポータルを採用

白井 正志
川崎重工業株式会社 航空宇宙カンパニー 企画本部 情報システム部(システム開発担当)主事

航空宇宙カンパニーでは、受注から設計、生産、デリバリーまですべてを行なっています。今回、ポータル化の対象となった部品技術課および工作技術課は、エンジニアリング側の設計部門のアウトプットである図面と部品表を基に、生産側の設計を行なっている部門です。この両部門が選ばれた理由としては、APICSという生産管理システムを利用した業務が定型化されている点が挙げられます。

「従来は、複数のアプリケーションを同時に起動する度に、いちいちIDやパスワードを入力していました。それを一元的に管理できるだけでも作業の効率化につながります。さらに、複数のアプリケーション間で情報を統合して新しい付加価値を提供できないか。こうした背景があって、エンタープライズポータルという話が出てきました」(白井氏)

今回のプロジェクトが動き始めたのは2002年12月。富士通のInterstageが採用された理由のひとつに、プロセス統合やスケーラビリティといった技術の優位性が挙げられますが、それだけではありませんでした。

「ポータルを導入するということは、利用者の視点で情報を統合することであると考えています。そうした位置付けのソリューションはこれまでほとんど存在しなかったように思います」(白井氏)

しかし、利用者の側からの統合といっても、具体的にどういう情報を統合すれば利用者にとってありがたいかという判断は容易ではありません。最終的に、日々に扱う業務データを統合するポータル、つまりはビジネスポータルを目指そうという結論にたどり着いたところ、富士通側からの提案も「ビジネスポータルでどうでしょう」というものでした。これはまさにクライアントのニーズに合致した提案でした。

プロジェクト全体スケジュール

本番システム構築へ向けての準備段階としての開発フェーズ

松田 光司
川崎重工業株式会社 航空宇宙カンパニー 生産本部 工作部 工作技術課主事

今回のポータル構築プロジェクトの特徴は、全体がステップ1、ステップ2と、2段階に分けられた点です。ポータルといっても、そこには情報インフラとしての側面と情報サービスとしての側面があります。インフラとしての側面からのアプローチとして、ステップ1ではまずガイドラインの作成が行われました。

一方、情報サービスとしてユーザニーズをどのように捉えるかという部分については、実際にやってみた結果としてはじめてわかることもありますが、従来の作業の洗い直しによって、ある程度、絞り込むことができました。

「設計部門からくる図面と部品表を基に、製品製造を計画、実行、指示するためのデータを作成する生産情報管理システムがAPICS (ホストシステム) です。APICSのメニューは非常に数が多いのですが、定型的な業務に使われるメニューはある程度限られており、その業務の中でつねに使うメニューに特化していきました。と同時に、現状のAPICSで実現できない部分を、ポータルを通して実現していくことにしました」(松田氏)

ここに技術的な課題の検証を加えて、最終的に、開発フェーズのステップ1ではこの3本柱で進めていくことになりました。

このプロジェクトのもう1つのポイントは、システム全体を本格的に開発していくのではなく、調査的な要素も含めた形で進行するということでした。そのため、最初の構築フェーズにおいてプロトタイプが作成されることになりました。プロトタイプといっても、通常のやり方では既存のシステムにつなぐためには既存システムを修正する必要があります。費用対効果もわからない段階で、そこまで開発をするには大きなリスクが発生します。ところが、富士通には、既存システムをいじらずに、簡単にポータルを実現できる機能が用意されていました。それが、ホストシステムとポータルサーバとの連携を支援する「Server2000」でした。

「技術検証については、やってみなければわからない部分が少なくありませんでした。Webシステムといっても、当初はそれほど簡単に載るとは考えていませんでしたが、『Server2000』によるホスト連携は予想以上に順調に進みました」 (白井氏)

今回、ポータル化の対象としては、ナリッジポータルではなく、あくまでも基幹系の業務を対象としたビジネスポータルを狙っていました。ビジネスポータルを構築する場合、やはり一番効果があるのは基幹業務です。「Server2000」の存在によって、最終的にはAPICSをバックシステムとすることが一番効果的であると判明したのでした。

プロトタイプに対する評価から開発フェーズのステップ2へ

実際にできあがったプロトタイプのポータルへのユーザの評価には、やはりさまざまな意見がありました。APICS自体が30年前から使われてきたシステムであり、ほとんどのユーザはその操作に慣れ親しんでいたため、操作性の違いに違和感を覚えるユーザは少なくありませんでした。ステップ2ではそうした評価も考慮に入れつつ、業務指向型ポータルシステムの構築が本格的に開始されました。

「ユーザの声は参考になりましたが、エミュレータと勝負しても仕方がありません。それよりも、エミュレータにはないポータルの付加価値を提供した方が、APICSに慣れ親しんだユーザのみなさんにも使ってもらえると判断しました。たとえば、ひとつのキーワードで複数の情報を同時に検索するとか、複数画面に分割された情報を1画面に集約するといった情報系のサービスを用意しました」(白井氏)

10月1日からの本番システムの導入に先立ち、ユーザへの教育も行われました。それまでユーザの中にポータルという概念が存在しておらず、どうしても従来のエミュレータの代替システムという目で見られ、操作性の悪化といった、エミュレータよりも劣る点ばかりが目につきがちでした。そこで、ポータルとしてのプラスアルファをより強くアピールするために、“ポータルとは何か”といった基本的なコンセプトから説明が行われました。 「実際の機能や操作方法も説明しましたが、それ以上に、ポータル導入によって、APICSなど各システムを統合したことが、いかに作業効率の向上につながるかについて説明しました」(松田氏)。

「Server2000」によってWeb化されたホストシステムの画面。
当然ながら、マルチウィンドウ環境も実現され、作業効率も向上した。

ホストシステム画面写真

ポータル導入による操作性の改善による作業効率の向上

実際、「Server2000」と「Interstage Portalworks」が提供するポータル環境はさまざまな業務効率の向上をもたらしました。たとえば、従来のホストのシステムでは、1つの大きなデータを画面切り替えしながら表示するという仕様になっていました。「Interstage Portalworks」が提供するシナリオ機能を利用することで、すべての画面構成を1つのデータとして吐き出して、ひとつのイメージとしてGUI画面で確認できるようになりました。

情報検索機能も大幅に改善されました。さまざまな資材情報や製造情報の参照には製造品番が使用されますが、従来は、異なるアプリケーションごとに同じ番号を繰り返し入力しなければなりませんでした。新しいポータル上では、1度入力した番号をあらゆる検索に利用できるという環境が、やはりシナリオ機能によって実現され、検索・参照の効率がアップしました (下画面参照) 。これもまたポータルが提供する付加価値です。

「Interstage Portalworks」のシナリオ機能によって実現された検索画面。
ひとつの検索値によって、複数アプリケーションに対する同時検索が可能となっている。

「Interstage Portalworks」のシナリオ機能によって実現された検索画面写真

ポータルならではの新機能として工場カレンダーと西暦日付を並列表示する機能や、メモ帳機能なども追加されました。工場カレンダーとは生産情報管理システムにおいて使用される稼働日を示したシーケンシャルな数字で、従来個人がそれぞれ工夫して把握していたものです。これらは新たに追加された機能というだけでなく、データ共有一元化というポータルがもたらすもうひとつの恩恵を象徴しています。

「ホストの頃は、それぞれがマクロを使って個人個人の工夫で似たような機能を実現していたようです。当時は、そうしたノウハウを持っているかどうかで作業速度に差がでるという状況でした。今回のポータルでは、作業ノウハウの標準化も念頭に置いていました」 (松田氏)

アプリケーションごとに異なるユーザ認証の問題は、「Interstage Portalworks」が提供するシングルサインオン機能によって解決しました。

「実際にポータルを導入してみて、シングルサインオンはポータルを構築するための“目的”ではなく“必要条件”であるということがわかりました」 (白井氏)

今後は、ポータルが導入されたことで、新たなニーズが次々と生まれてくることが予想されます。

エンタープライズポータルのシステム構成図。

さらなるシステム連携とポータル機能の強化に向けて

ポータルにはさまざまなメリットがあります。多様な情報を洗練された方法で取り出せるといった点も挙げられますが、最大の特徴は、システム間の壁を取り除ける可能性があるという点です。

「現在のポータルでは、業務メニューを選択するとAPICSのメニューが出てきますが、PDMなどの他システムのメニューも加え、ユーザ視点で再整理・統合していきたいですね。Webシステムだろうと、他のホストであろうと、同一環境の中で扱えるようになれば、ポータルとしての価値はより高まるでしょう」(白井氏)

「ユーザの視点から見ると、既知のシステムをいじらなくても、見せる部分で細工ができるという点で発展性があると感じています。今後、導入が予定されているERPのシステムはその特性上、汎用的な画面構成になると思いますが、その場合も、ユーザにとって見やすく、使いやすいツールとして、ポータルは有効だと思います」(松田氏)

今回のプロジェクトでもうひとつの見逃せない点があります。2002年12月の企画立案からシステム稼働までに要した期間はわずか10ヶ月、本番ポータルだけに限れば、わずか5ヶ月で構築することができました。

こうして10月から本格稼動を開始した航空宇宙カンパニーのエンタープライズポータル。同社では引き続きポータルの可能性を検証しながら、新たなシステム連携の実現を目指します。そのとき再び、“Interstage”がその威力を発揮することでしょう。

【川崎重工業株式会社様 会社概要】

本社 東京本社/東京都港区浜松町2丁目4番1号(世界貿易センタービル)
神戸本社/兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号(神戸クリスタルタワー)
創業 1896年10月15日
資本金 81,427,000,000円
売上高 連結 12,395億円(2003年3月期)
単体 8,947億円(2003年3月期)
従業員数 連結 28,642人(2003年3月31日現在)
単体 11,568人(2003年3月31日現在)
事業概要 [川崎重工業株式会社 航空宇宙カンパニー]
大正12年に創設された同社の航空機部門が、2001年の社内カンパニー制導入によって名称を変更したのが現在の「航空宇宙カンパニー」。大型・小型の固定翼機(飛行機)、回転翼機(ヘリコプター)、飛翔体、宇宙関連製品の研究・開発・製造を行う。航空宇宙カンパニーの売上高は約1,600億円、従業員数は3,177人。
ホームページ 川崎重工株式会社ホームページ

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