
日本を代表する切削工具メーカーであるオーエスジーでは、取引先との受発注業務に活用してきたEDIシステム「ONEST」を再構築した。Web-EDI化して、より多くの顧客にシステムを利用してもらうのが狙い。
リアルタイムな在庫情報の提供が不可欠なことから、「Interstage」を採用した。基幹システムのデータを取引先に直接提供することで、情報のリアルタイム性確保と業務効率の向上を実現している。
[ 2002年8月掲載 ]

市川 栄二氏
オーエスジー株式会社 常務取締役

竹生 光志氏
オーエスジー株式会社 経営企画室長
タップ、ダイス、ドリル、エンドミルなど、工業用切削工具の製造を幅広く手がけるオーエスジー。全売上の6割を占める自動車メーカーをはじめ、電機メーカー、機械メーカーなど、様々な企業に高品質な製品を供給している。その中には市場シェアの4割以上を占める数多くの製品も存在。切削工具のリーディング・カンパニーとして、意欲的にビジネスを展開している。
長引く日本経済の低迷は、製造業を主要顧客とする生産財メーカーにも大きな影響を与えている。リードタイム短縮やコストダウンに対する要求は、厳しさを増す一方である。業界内の競争も、一段と熾烈になっている。しかし、オーエスジーはこうした環境の中でも、安定した成長を維持。常務取締役 市川栄二氏は、「当社では30年以上前から積極的な海外展開を行っており、世界中に生産・営業拠点を構築してきました。これが、現在の強みにつながっています」と力強く語る。
北米・南米・欧州・アジアに展開する現地法人・海外代理店の数は、全部で約40社。これほどの海外拠点を擁する企業は、業界でも一握りである。しかも、こうした海外拠点がそれぞれ単独で活動しているのではなく、ネットワーク化されている点も注目に値する。
経営企画室長 竹生光志氏は「いくら海外に拠点が多数あっても、それぞれがバラバラに稼働していたのでは、効果は半減です。その点、当社では、グローバルな拠点をネットワークでつなぐことで、グループ全体を通した最適地生産を実現しています」と語る。
生産コストの安さに着目し、生産拠点を海外に移管する製造業は一段と増加している。しかし、現地の商習慣や仕事に対する意識の違いなどから、撤退を余儀なくされる企業も少なくない。
市川氏はこうした傾向に対し、「コストだけを考えていたのでは、グローバル展開を成功させることはできません」と指摘する。「特に、当社は生産財メーカーですから、ただ安いというだけではお客様に受け入れていただけません。厳しい品質管理を経た高品質な製品を、どれだけリーズナブルな価格でご提供できるかが大きなカギなのです」。
コストの安さが市場での競争力に直結する消費財と異なり、生産財は顧客の業務にどれだけ役立ったかで価値を判断される。日本のモノ作りの持つ高品質・高付加価値といった特長を、いかに海外拠点で実現するかが要求されるのだ。
そこでオーエスジーでは、海外展開にはベテランの技術者や設備をまず日本から派遣する。現地拠点に品質管理の意識を徹底的に浸透させ、必要な技術も確実に習得させるようにしている。
「サポート体制の充実も、重要なポイントです。海外進出した日本企業が現地でのお客様となるケースも多いですから、技術サポートやサービス機能など、お客様を総合的にバックアップする体制が欠かせません」と語る市川氏。竹生氏も「同じオーエスジーブランドの製品であれば、日本で作ろうが、ブラジルや中国で作ろうが、同じ品質のモノをご提供する。これが当社のモットーです」と続ける。
コスト・品質・サポートのすべてを追求してきたことが、グローバル展開を成功に導いた大きな原動力なのである。
日本の製造業は世界でも屈指の生産管理技術を誇るだけに、単独でのコストダウンは既に限界に近づきつつある。そこで、自動車業界などを中心に、パートナー企業との協調によってさらなるコストダウンを目指す動きが高まっている。
オーエスジーではこうした流れにもいち早く対応。顧客に対して積極的な協力を約束している。竹生氏は「他企業との協調に二の足を踏む同業者も多かっただけに、お客様には大いに喜んでいただきました」と説明する。
こうした攻めの営業活動を展開できるのも、製品の品質に対する強い自信があるからだ。「当社の製品には、それぞれの分野でリーダー的な存在となっているものが多くあります。今後もこの強みを活かして、積極的に営業活動を展開していきます」と市川氏は語る。
切削工具メーカーには、タップメーカー、エンドミルメーカーといった具合に、単一の製品しか取り扱わない企業も多い。これに対して同社では、あらゆる分野の製品を手がけており、この総合力が強力な武器となっている。「お客様の様々なニーズに対して、ワンストップでお応えできます。これまで培ってきたノウハウも併せてご提供することで、お客様のビジネスをしっかりと支えていきたいですね」と竹生氏は語る。
「我々メーカー側からではなく、お客様が要求する納期・品質でいかに製品をご提供できるかが、これからの勝負を決めます。品質向上のための技術開発はもちろん、リードタイムを短縮するための取り組みもさらに進めていきます」(市川氏)。

浅井 伸一氏
オーエスジー株式会社 IT推進室 コンピュサーブ チームリーダー

竹下 恵介氏
オーエスジー株式会社 IT推進室 コンピュサーブ チーム 主任
オーエスジーでは業務のIT化も積極的に推進しており、1994年の段階で既にクライアントPCの一人1台体制を確立している。「グローバルなビジネスを展開するためには、情報の有効活用が不可欠です。戦略的なIT投資は積極的に進めるようにしています」と市川氏は語る。
もちろん取引先との業務においても、こうした姿勢は変わらない。1990年代初頭には、オンラインでの在庫照会・受発注業務を行う「ONEST(Osg NEtworkSTation)」システムを構築。問屋や代理店との業務効率化に役立ててきた。
しかし、構築から約10年が過ぎ、様々な課題も生じてきた。IT推進室 コンピュサーブチームリーダー 浅井伸一氏は「旧ONESTは専用線と専用端末で構築されていたため、ユーザーとなるお客様側のコスト負担が大きい点が問題でした」と説明する。
高価な専用線・専用端末を使ったシステムを導入できる企業となると、どうしてもそれなりの規模を持つ企業に限られてしまう。このため旧ONESTシステムのユーザーは、主要取引先の10社程度に留まっていたのだ。
「より多くのお客様にご利用いただくには、既存のONESTの仕組みでは限界があります。何か新しい方策はないかと、模索していました」と浅井氏は語る。
そこで着目したのが、インターネットを利用したWeb-EDIである。IT推進室 コンピュサーブチーム 主任 竹下恵介氏は「インターネットとPCを使えば、旧ONESTと同等の環境を大幅に低いコストで実現できます。ONESTを進化させていくためにも、Web-EDI化の必要があると考えました」と語る。
もっともサービス提供者側の論理だけでプロジェクトを進めたのでは、顧客の十分な支持を得られない心配もある。そこで、顧客へのヒアリングを行い、Web-EDIに対するニーズを調査した。浅井氏は「お客様からも十分な手応えが得られましたので、本格的に新ONESTの構築に着手しました」と語る。
オーエスジーの在庫データや受発注データはすべて、メインフレームに蓄積されている。これをWeb-EDIで利用する方法としては、メインフレーム上のデータをいったんオープン系サーバなどに切り出して公開する方法と、メインフレームに直接アクセスする方法の2種類の方法が考えられた。
検討を重ねた結果、後者を採用することになった。竹下氏はその理由を「在庫データをはじめとする業務データは日々刻々と更新されており、一度サーバに切り出したのでは情報が古くなってしまう可能性があります。お客様にリアルタイムなデータをご提供するには、メインフレーム上のデータを直接公開するのが最良だという結論に達しました」と説明する。
メインフレームには本社だけでなく、様々な関連子会社のデータも集約されている。このデータをそのまま提供すれば、顧客はオーエスジーグループ全体の在庫や納期を一度に確認することができ、受発注業務を正確かつ迅速に遂行できるようになる。
この仕組みを実現するために採用されたのが、富士通の「PRIMEFORCE」と「Interstage」だ。実際のインテグレーション作業は、富士通中部システムズが担当した。PRIMEFORCE上の「Interstage forGS」と、フロントエンドのPCサーバ「PRIMERGY」に導入された「InterstageApplication Server」との連携によって、Web-EDIによるリアルタイムな納期・在庫照会と受発注業務を実現した。

システム構築を行う上では、様々な苦労もあった。竹下氏は「今回のようなメインフレーム連携は、我々としても初のチャレンジ。本当に実現できるのかどうか、最初は不安もありました」と振り返る。
しかも、他のITベンダーやインテグレーターに相談を持ちかけても、高額なコストを提示されたり、実績がないので保証できないといったネガティブな反応が返ってきたりすることが多かった。
「これに対して、富士通はInterstageなら実現できると、前向きな提案をしてくれました。そして、デモを見たり開発部門の説明を聞いたりなどしているうちに、これなら大丈夫だという確信が得られたのです」(竹下氏)。
2001年秋頃から実質的なシステムの開発作業に入り、年末には既に第一次システムが稼働した。わずか4ヵ月程度で、新ONESTを構築できたのである。この短期構築を実現するために、メインフレーム上のCOBOL資産なども有効に活用した。実に、既存資産の98%がそのまま利用されているのである。新ONESTのレスポンスに対するユーザー企業の評価も高い。竹下氏は「あまりにレスポンスが速いため、中にはサーバに切り出したデータを返しているのだろうと疑われるお客様もいらっしゃいます」と苦笑する。
Interstageの導入効果について、浅井氏は「懸案であったクライアント環境のWebブラウザ化が実現できたことで、多大なコスト負担を伴うことなくONESTをご利用いただけるようになりました。現在はより多くのお客様にお使いいただけるよう、展開作業を進めています。また、製品マスタがWebサーバ上で一元管理できる、専用端末の保守が不要になったなど、運用管理上のメリットも大きかったですね」と満足げに語る。
新ONESTは、顧客企業の業務効率向上にも貢献している。従来は、専用端末の数が限られていたため、受発注が集中する時間帯になると端末の「空き待ち」が発生していた。現在では、ユーザー数分のIDとインターネットにつながったPCさえあれば、どこからでも受発注業務ができる。浅井氏は「かつては遠隔地の営業所からの在庫照会依頼などを、旧ONEST端末が設定されている本社・支店が代行しているお客様もおられました。それが、今では営業所から直接新ONESTにアクセスできますので、お客様からも『頼まれ仕事』が減ったと好評をいただいています」と語る。
「以前、お客様から『自分のデスクにオーエスジーがあって欲しい』と言われたことがありました。新ONESTが稼働したことで、その環境に少しでも近づけたと考えています」と竹下氏も語る。
オーエスジーでは顧客満足度向上の観点から、システムの使い勝手にも配慮している。新ONESTの稼働開始直後には、常務である市川氏が一人でユーザー企業まで赴いて、使い勝手について聞き、システムの改善に反映させたという。「お客様に満足していただけないサービスは、絶対に広がりません。批判やご意見を伺うのは当然のことです」(市川氏)。
2002年5月には、富士通のFIPアウトソーシングセンターへの業務委託も開始した。浅井氏は「今後のIT部門は、より戦略的な業務へと転換していくことが必要です。メインフレームのアウトソーシングを行ったことで、サービスの拡充や業務効率の向上に力を注いでいきたいですね」と意気込みを語る。
「ツール・コミュニケーション」を企業ビジョンとして掲げるオーエスジー。市川氏は「高品質・高付加価値な製品をお届けするのが我々の使命。お客様とのコミュニケーションを強めるためのインフラとして、Interstageを今後も活用していきたい」と今後の抱負を語った。

PRIMEFORCE
急変するビジネス環境に即応し、企業経営のいっそうの効率化を実現するため、ブロードバンド・インターネットを基盤とした、Webアプリケーションによる業務構築や企業内/企業間におけるシステム連携が急務となっている。このような要件を満たすのが、マルチサーバ「PRIMEFORCE」である。
PRIMEFORCEは、高性能・高信頼なグローバルサーバ「GSシリーズ」、UNIXサーバ「PRIMEPOWER」および、PCサーバ「PRIMERGY」を融合した「マルチサーバ・システム」を1台で構築することができる。
新筐体採用のPRIMEFORCE(全15モデル)は、GigabitEthernet(1000Base-T)を標準搭載し、ブロードバンド・インターネット環境への対応をいっそう強化。しかも、従来は8台だったUNIXサーバやPCサーバの搭載台数を最大11台に拡大し、設置面積は従来の半分で済む。
| 設立 | 昭和13年3月 |
|---|---|
| 資本金 | 104億400万円 |
| 年商 | 344億7,900万円(平成12年度) |
| 従業員数 | 1,822名 |
| 業務概要 | ねじ切削工具、ミーリング工具、転造工具、測定工具などの製造販売を手がける総合切削工具メーカー。1968年から本格的な海外進出を行い、現在では全世界に約40ヵ所の現地法人・代理店を有する。「地球企業」を掲げる同社は環境問題にも積極的に取り組んでおり、国内9事業所でISO14001の認証を取得している。 |
| ホームページ | オーエスジー株式会社ホームページ |
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