帳票電子化のメリットは多い。大型のプリンタや用紙、インクの輸送、保管にかかるコストを劇的に削減できるうえ、情報伝達のタイムラグをなくし、迅速な意思決定が可能となる。新キャタピラー三菱株式会社様(以下、敬称略)は、こうしたメリットがある帳票の電子化に取り組んだ。導入したのは、富士通の「Interstage List Works」。採用の決め手は、「高いオープン性」だった。導入検討のきっかけは、ERP導入による販売会社のプリント出力環境の変化だったが、それだけにとどまらず、帳票の電子化のメリットを最大限に活かして、同社グループ全体のナレッジマネジメント推進の大きな力にもなっている。
[ 2005年3月掲載 ]

星野 誠氏
新キャタピラー三菱株式会社 情報戦略室 次長

吉田 誠氏
SCMシステムサービス株式会社 IT企画推進室 チーフマネージャー
ブルドーザーといえば「キャタピラー」。今から100年ほど前の1904年、今日のブルドーザーの原型となる無限軌道式トラクターを世界で初めて製造したのは米ホルト社。現在のキャタピラー社だ。そのキャタピラー社と三菱重工業の共同出資によりキャタピラー三菱が誕生したのは1963(昭和38)年。さらに三菱重工が生産していた油圧ショベル製造部門を吸収し、1987(昭和62)年に新キャタピラー三菱が誕生した。
「キャタピラーグループの歴史は建設機械の歴史と共にあります。この100年間、パイオニアとして建設機械の発展をリードしてきました」と同社情報戦略室次長の星野誠氏は語る。
長い歴史を誇る会社ではあるが、成長し勝ち残るには、変化する経営環境に対応する必要がある。「時代が変われば、使われる機械が変わり、また最近では各企業が所有するよりレンタルが増えるなど使われ方も変化しています。そのために、グループ全体でITシステムの見直しが求められていました」と、SCMシステムサービスのIT 企画推進室チーフマネージャーの吉田誠氏は語る。同社は、11年前に新キャタピラー三菱の情報システム部門から独立したITソリューションベンダーだ。
新キャタピラー三菱では、米本社のワールドワイドな方針の一環で、グループ全体でERPパッケージをベースにした会計システムの刷新を進めてきた。同社は国内のエリアごとにある販社も含めてERPパッケージが導入されることになった。
そこで課題として上がったのが、販社で出力していた販売関連の各種帳票の扱いだ。販社では、オフコンの会計パッケージを導入して経理処理を行う。このオフコンは会計業務のみならず、本社から来る出荷指示書、請求書などの帳票出力のスプールサーバとしても利用されていた。しかし、今回のERPパッケージの導入でオフコンの経理処理が不要になる。単なるスプールサーバとしてはオフコンは高価である。
そこで、新キャタピラー三菱では、オフコンの代替として帳票出力専用のPCサーバを設置する方針を固めたが、販社側から不満の声があがった。必要な帳票を販社側で選んだり出力前に確認したりできないなど、それまでより使い勝手が悪くなるからだ。

松ノ下 竜造氏
SCMシステムサービス株式会社 運用サービス事業部システム運用部 運用サポートグループ
「富士通に打開策をお願いしたところ、富士通のパートナーである扶桑電通からご提案頂いたのが電子帳票システムのInterstage List Worksです。販社様向けにデモンストレーションをしたのですが、データを取り出してExcelシートに貼り付けたり加工したりできることなどから、予想以上の好感を得ることができました」と、SCMシステムサービスの運用サービス事業部システム運用部運用サポートグループの松ノ下竜造氏は語る。さらに松ノ下氏は、「Interstage List Works採用の最大の決め手は、高いオープン性です」と続ける。
導入に向けての作業段階では、「マルチプラットフォーム環境の実現には、ホスト側の微調整も多少必要でした。しかし、富士通にはホスト側についても出力側についても技術やノウハウがあります。また、扶桑電通は私たちのグループ各社の業務に精通しており、常に最適な解決策を提案して頂きました」と田氏は振り返る。
2003年5月から検討を開始したこのプロジェクト。同年10月から販社のうち5社での導入が順次始まり、04年2月に完了した。高いオープン性、さらに広域大規模な帳票電子化としては、極めて短期間でシステム構築を完了させた例といえるだろう。
図 Interstage List Worksで帳票を電子化した新キャタピラー三菱のシステム

従来は、グループ内の帳票類は、新キャタピラー三菱から地域販社にデータが送られ、それをプリントアウトし、さらに仕分けして、支社や支店に配送していた。しかし、新システムの導入で帳票が電子化されたため、紙での仕分けや配送の必要がなくなる。それまで販売資料や請求書など、各販社では毎月3万ページを出力していたが、その大半が電子化された。
帳票の電子化により、出力の時間やコスト、紙の保管スペースが大幅に削減でき、さらにナレッジの容易な共有・活用が始まった。例えば、販売データなどを会議に用いる場合、それまでは帳票を参照し手入力していた。今ではCSVデータで取り出して、自在な分析や二次加工などができる。
また、当初狙っていなかった効果に、住所や氏名に使用する外字の管理がある。田氏は「システム全体で統一した外字管理を実現できました」と語る。そこで活躍したのが、富士通の外字管理ツール、Interstage CharsetManagerだ。
販社での成功を受けて、新キャタピラー三菱本体での帳票電子化が進行している。「本社での帳票出力は月100万ページ、年間1億円の経費がかかっています。すべての電子化は不可能ですが、極めて大きな効果を期待できます」と松ノ下氏は話す。
「現在グループ全体で、ナレッジマネジメントを推進しています。ユビキタスがキーワードになっているように、いつでも、どこでも欲しい情報にアクセスできなければいけません。しかし、紙の状態では限界があり、帳票の電子化は不可欠です」と星野氏も意気込みを語る。
| 本社 | 〒158-8530 東京都世田谷区用賀四丁目10番1号 |
|---|---|
| 設立 | 1963年(昭和38年)11月4日 |
| 資本金 | 231億円 |
| 売上高 | 3,080億円(2003年度連結決算ベース) |
| 従業員数 | 3,133名(2004年3月末日現在、新キャタピラー三菱グループ全体では5,107名) |
| 業務概要 | 世界最大手の建設機械メーカー米国キャタピラー社と日本最大手の重工業メーカー三菱重工のジョイントベンチャー。世界各地の土木、建設、鉱業をはじめ、さまざまな分野で活躍する、油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダなどの建設機械の開発、設計、製造、販売、輸出入等に従事。小型から世界最大級の製品まで幅広いラインナップを誇る。 CATERPILLAR(キャタピラー)およびCATはCaterpillar Inc.の登録商標です。 |
| ホームページ | 新キャタピラー三菱株式会社ホームページ |
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